メルマガ47より 『Gail が教えてくれたこと』
- 2010.11.27 Saturday
- 11:32
『Gail が教えてくれたこと』
私がサンフランシスコの小学館子会社(現ビズ・メディア)で働いていた時に
「ポケモン」全米大ブームがやってきました。小学館は自社のポケモン出版物
の全世界権を持っていたので、子会社で版権業務をやっていた私も、世界中が
知ることになった作品で仕事をする、という滅多にない体験をしました。
ある時、日本以外の地域において、全てのポケモン商品の世界権を管理する、
チーフプロデューサーと話をする機会がありました。Gail はアメリカ人女性、
しかも幼稚園〜小学生までの子ども3人を育児中のお母さんでもありました。
「いったいどうやって、この超多忙な仕事と家庭をこなしているの?」
との私の問いに、サラッと彼女はこんな風に答えてくれたのでした。
あらだって、私はこの仕事を引き受けたときに「何があっても9〜5時で
勤務します」って皆に宣言させてもらったの。仕事も家庭も大事だから。
朝5時に起きて家族が揃う7時まで仕事、8時にベビーシッターが3人
の子供達を学校に送り届けてくれて、5時にはお稽古事を済ませて戻って
くれるの。私とはそこでバトンタッチ、後は子供達と宿題やおしゃべり
したり、帰宅してきた夫と皆でご飯食べたりゲームしたりして寝させる。
9時からまた仕事。それでまわしてる。Because I want everything!
当時独身でいつかは仕事も家庭も....と思っていた私はただただ「Wow....」
実際、彼女の同僚たちに聞くと、どんなに白熱した戦略会議でも5時になると
「Oh, five o'clock!」と言って彼女はスッと席をたつのだそう。ほんまかっ!
と驚いた同僚たち....でも彼女が絶対にその姿勢をくずさないのがわかると、
家庭を仕事と同じくらい大切にする彼女の気持ちに打たれ、ちゃんと
彼女が5時に退社できるように、皆で仕事をまわすようになったのだとか。
(Gail が帰る5時までになんとかこの書類を〜!と私も必死でやっていた...)
彼女の部下のひとりの言葉ー「でもね、私たちがしくじっても、Gail は必ず
楯になって守ってくれる、尊敬できる上司なの」。だから周りもついていく。
そしてなんと!彼女はこの仕事をすることで、みるみる痩せて、美しくなって
いったのだっ。(人って満たされると、こんなに輝くのか...と思いました)
家庭を持ちながらの仕事だと、とかく肩身の狭い思いをしたり、”すみません”
ばかり言っていたりしがちですよね。あの時、こんな生き方もあるっていう事、
私は彼女に教えてもらいました。
ー自分が必要とすることを、ちゃんと誇りをもって主張できる勇気
ー大切なことをわかり、それを自分らしく持続させていく力
そんなものを彼女はもっていたんだと思います。
あれから十数年たって、今、子どもを育てながら仕事をしている私....
最近、「週末や平日の夜はファミリータイムなので、仕事はできません」
と、スミマセンの気持ちじゃなくて、少しずつ誇りを持って言えている
自分を感じています。
自分がありたい生き方でいく覚悟、ができてきた感じ...でしょうか。
Gail が見せてくれたもの、私も次へと引き継いでいきたいと思います。
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