メルマガ180号コラムより『みんな持ってるもん。』
- 2016.09.24 Saturday
- 10:27
配信日:September 23, 2016
『みんな持ってるもん。』
小さい頃、クラスのお友達や近所の子供達が持っている物を見て、こんな会話を
両親と交わされた方は多いのではないでしょうか・・・
子:「わたしも〜がほしい、だってみんなもってるもん!」
親:「みんなってだれ?」
子:「XXくんと、〇〇ちゃん」
親:「全然みんなじゃないでしょ、ダメ。買いまっせん!」
隣町へ行くのが大冒険というような小さな子供の世界では、2、3人は本当に
“みんな” だったのかもしれないし、曲がりなりにも親にプレッシャーを与えて
思い通りにさせようという魂胆があったような気もします(笑)
翻って。
”わたしひとりだけ…”という体験で、今も心に残っている思い出があります。
大学3年生の教職員過程で母校に戻って教育実習をした時のことです。
私の母校はミッション系私立女子校のいわゆる英語が”ウリ”の学校。英語のクラスは
成績順で6段階に分けられていて、そこに英語の実習生20名近くが割り当てられました。
私は高3のトップクラスの担当となり、懐かしさと生徒達を妹のように可愛く思いながら
毎日実習に励んでいました。そして最終日には、私のクラスだけ、その昔お世話になった
先生方がほぼ全員私の実習を見学に来られるとのお達しがありました。
もう、そのプレッシャーと来たら・・・
私のクラスだけ、
私の出来栄えを、
検分に来られる。
授業は細かく指導担当の先生と相談した上で、全て英語で行い、生徒たちも非常に協力的で
その視線や小さく頷く姿から、”先生頑張れ!”という無言の応援を感じつつ何とか終了。
ホッとしたのも束の間、放課後に指導教官から2:8のダメ出し(8)をくらった時には
涙が止まりませんでした。もう、嘘のように涙が後から後から流れて自分でも大混乱・・・
それは今思い返すと、悔しいとか終わって嬉しいと言った分かりやすい感情ではなく、
とにかくプレッシャーから来た脱力の涙だったように思います。
そんな体験があって大学に戻り、他校で実習を終えた友人達と話していた時に、先生方が
授業の見学に来られたか?という話になりました。するとそこにいた友人達は皆んな口を
揃えて「見学は実習生全員にあった」「あれ、嫌やったわー」とケロっとして言うのです!
「えっ?代表一人だけ、ではなかったのか?」と私はボー然。
そして気づきました。プレッシャーの根源は「先生方の見学」よりも「私一人だけ」
にあったのだと。
選ばれたのだから、トップクラスの担当なのだから、留学していたのだからと、一人で
かなーり空回りしていたのだと。おそらく実習生全員に見学があったのであれば、全然
違うプレッシャー、どころか、”みんなやる”のだから「よっしゃ、私もやったる!」
ぐらいになっていたのかもしれないと。
自分の置かれた「文脈」とそこから来る「自分の状態」をちゃんと把握することの
大切さ、を学んだ貴重な体験でした。
私たちは人や情報に囲まれて生活をしています。だからこそ、自分の立ち位置を
しっかりと確認し、「感化する・される」ことには少し敏感でいたいもの。
“えー、私だけ?" とか "皆んなやってるから…"というつぶやきが起こった時には
フと立ち止まり、”だから私はどうするの?”と自問する余裕が欲しいものですね!
- メルマガ(抜粋)
- -
- -