メルマガメルマガ186号コラムより『クリスマスよ、ありがとう』
- 2016.12.24 Saturday
- 10:53
配信日:December 23, 2016
『クリスマスよ、ありがとう』
アメリカ生活が長く子供をあちらで生んだこともあり、我が家でクリスマスという
のは特別な存在があります。
今年中3の受験生の娘が先日、「ツリーを出すっ!」と言ってクローゼットから
一式を引っ張り出しいつもの場所に飾りました。その一式の中には彼女が学童クラブ
で作った小さな箱があり、彼女からサンタさんへのお手紙が過去10年分入っています。
久しぶりに開けてみると、つたないひらがなと絵で書かれたものや、塗り絵を
サンタに強いているもの(夜中に夫婦で色塗りをした…笑)、途中からはなぜか
英語になりサンタからも英語の返事があったり。
年の終わりに、互いに贈り物を交わすことでいつもとちょっとちがう時間が流れる…
クリスマスは我が家にとって、そんな存在であるな〜と思うのです。
そしてこの箱の中に、4年前シアトルにいた時に、学校から配られた新聞記事がありました。
約120年前のちょっと素敵なエピソードで、NYサン新聞のベテラン記者と八つの女の子の
お話です。この社説(!)の文章は、最初に掲載された1897年からその後毎年、1949年に
The New York Sunが休刊するまで再掲載され続けたそうです。
これを皆さんと共有して今年の最終号にしたいと思います。
今年もメルマガを読み続けていただき、本当にありがとうございました。
読者の皆様との有言&無言の交流に支えられた一年であったと思います。
どうぞ良いクリスマス、お年をお迎えください。
小林久美
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『編集長さま、わたしは8才です。わたしの友だちにはサンタクロースなんていないんだ
といっている子がいます。お父さんは「サン新聞に問い合わせてごらん。新聞社のひとが
サンタクロースがいるというなら、たしかにいるんだろう」と、いいました。ほんとうの
ことをおしえてください。サンタクロースって、ほんとうに、いるんでしょうか?』
バージニア=オハンロン(NY市、8歳)
Virginia, your little friends are wrong. They have been affected by the skepticism
of a skeptical age. They donot believe except they see. They think that nothing
can be which is not comprehensible by their little minds. All minds,Virginia,
whether they be men’s or children’s, are little. In this great universe of ours,
man is a mere insect, an ant, in his intellect as compared with the boundless world
about him, as measured by the intelligence capable of grasping the whole of truth
and knowledge.
バージニア、あなたのお友だちは間違っています。疑い深い年頃に特有の疑い深さの影響を
受けているのです。見えるものしか信じないのです。そのちいさな頭で理解できるもの
以外は存在しないと思っているのですよ。バージニア、すべての人々の考えは、それが大人
であっても子どもであっても、小さなものなのです。真実や知識の全てを把握するだけの
知性によって測れば、この広い世界の中で、人は単なる昆虫、そう、まるでアリのような
知性しか持ち合わせていないのです。
Yes, Virginia, there is a Santa Claus. He exists as certainly as love and generosity
and devotion exist, and you know that they abound and give to your life its highest
beauty and joy. Alas! how dreary would be the world if there were no Santa Claus!
It would be as dreary as if there were no Virginias. There would be no childlike
faith then, no poetry, no romance to make tolerable this existence. We should have
no enjoyment, except in sense and sight. The external light with which childhood
fills the world would be extinguished.
バージニア、サンタクロースはいるのですよ。目には見えないけれど、愛や、優しさや、
誰かのために尽くす気持ちが存在するのと同じように。あなたもこういったことがどんなに
豊かなもので、あなたの人生に最高の美しさと喜びを与えてくれることを知っているでしょう。
そうです!もしこの世界にサンタクロースがいなかったら、どんなにつまらないことか!
それはこの世にバージニアがいないのと同じほどつまらないことです。そんな世界には、
子どもらしい信じる気持も、私たちに生きる望みを与えてくれる詩も夢もありません。
目に見えるものにしか、楽しいと感じることがなくなってしまうのです。子ども時代を
満たしてくれる外から包み込んでくれる光が消えてしまうことになるのです。
Not believe in Santa Claus! You might as well not believe in fairies.
You might get your papa to hire men to watch in all the chimneys on Christmas eve
to catch Santa Claus, but even if you did not see Santa Claus coming down, what
would that prove? Nobody sees Santa Claus, but that is no sign that there is no
Santa Claus. The most real things in the world are those that neither children
nor men can see. Did you ever see fairies dancing on the lawn?
Of course not, but that’s no proof that they are not there. Nobody can conceive
or imagine all the wonders there are unseen and unseeable in the world.
サンタクロースを信じないなんて!ならば妖精の存在も信じてないのですか。パパに
お願いして全ての煙突を見張らせる人を雇い、クリスマスイブにサンタクロースを捕まえ
ようとして、それでもサンタクロースが見つからなかったとしても、サンタクロースは街に
やってきているのです。なぜそうだと分かるのかって?サンタクロースを見ることは誰にも
できないのです。でも、それでもサンタクロースがいないということにはなりえません。
この世で最も本当のことは大人にも子どもにも見えないものなのです。芝生の上で踊って
いる妖精を見たことはありますか?もちろん、ないですよね、でも、だからと言ってそこに
妖精がいないという証拠なんてないのですよ。この世界にある、見えないものや見ることの
できないものが持つ不思議な魅力の全てを知っている人も、いや、それら全てを想像できる
人ですら、ただの1人も存在しないのです。
You tear apart the baby’s rattle and see what makes the noise inside, but there
is a veil covering the unseen world which not the strongest man, nor even
the united strength of all the strongest men that ever lived could tear apart.
Only faith, poetry, love, romance, can push aside that curtain and view and picture
the supernal beauty and glory beyond. Is it all real? Ah, Virginia, in all this world
there is nothing else real and abiding.
あなたが赤ちゃんのガラガラをばらばらにして、ガラガラと音を出すものを見ることができた
としても、まだそこにはベールに包まれた見えない世界があるんです。そしてそのベールは、
最強の男が、いや、これまで歴史上最強と言われた人々が束になってかかっても破ることなんて
できないのですよ。唯一、信じる心、詩、愛、ロマンスといったものだけが、そのベールを押し
開いてその向こうにある言葉に表せないほどの美しさや栄光を見せてくれるのです。
えっ、それって本当なのだって?
ねぇ、バージニア、この世界には、これ以上に真実で永遠なものなんてないんですよ。
No Santa Claus! Thank God! he lives and lives forever. A thousand years from now,
Virginia, nay 10 times 10,000years from now, he will continue to make glad the heart
of childhood.
サンタクロースがいないなんて!なんてことでしょう!サンタクロースはいるのです。
そして、永遠に生き続けることでしょう。バージニア、今から千年後、今から千年の十倍の
また十倍の後になっても、サンタクロースは子どもの心を喜びで満たしつづけるのですよ。
- メルマガ(抜粋)
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